ご挨拶

理事長からのご挨拶

第49代理事長 犬上 亙佑

《はじめに》

当会議所は1974年6月15日に、日本で563番目のLOMとして設立されました。爾来47年6か月という長い歴史の中で、先人たちの弛まぬ努力と熱量が「伝統」という形で着実に積み重ねられ、その確かな轍は青年会議所活動に邁進する今日の我々の道標となっています。長い歴史と伝統を紡ぎ、継承し続けて頂きました先輩諸兄をはじめ、青年会議所活動に格別なるご理解を頂いております町民の皆様・関係各位に、改めて衷心より深謝申し上げる次第です。

私ども一般社団法人寒川青年会議所は、日々の活動の中で、時には子どもたちの笑顔を創出し、「まち」の未来を真剣に考え、同時に多くの人材も育ててきたと自負しております。近年のメンバー数は十数名で推移しており、まちづくりを効果的に実行していくには決して多いとは言えませんが、その中にあっても全メンバーで考えて事業を構築し、微力ながら、まちづくりの一翼を担わせて頂けていることは、非常に喜ばしいことであり、全町民から「まちづくりに欠かせない存在」と認知して頂けるよう、会員個人の資質向上も並行して実践しております。

さて、私は滋賀県にある多賀大社という神社の神職の家系の長男として生まれ、18歳まで滋賀県で過ごしました。当然のことながら、神奈川県の「寒川町」のことは全く知りませんでした。そして、大学進学を機に、横浜に住むことになりましたが、田舎の若者特有の「都会に対する憧れ」が非常に強かったこともあり、都市部ばかりに興味が向いてしまい、神奈川に住んでいながら「寒川」を知るには至りませんでした。

当時、代々続く神職を継ぐ気も全くありませんでしたが、あるきっかけで神職を志すことを決め、ご縁を頂いて寒川神社に奉職させて頂くこととなりました。お恥ずかしながら、私が「寒川」という場所を知ったのは、この時が初めてであり、以来15年が過ぎようとしています。そして、2015年にはさらなるご縁を頂戴し、一般社団法人寒川青年会議所に入会、本年度こうして理事長という大役を仰せつかることとなり感慨一入に存ずるところです。


《まちファースト》

本年度の当会議所は「まちファースト~尊重・探求・献身~」というスローガンを掲げました。「まちファースト」という大きなスローガンに対し、「尊重」「探求」「献身」の3項目を基本的な方針として挑んでまいる所存です。

ご承知の通り、2020年・2021年と、我が国のみならず世界中で猛威をふるった新型コロナウイルス感染症。未知のウイルスによって、さまざまな業種が甚大な影響を受け、史上初の緊急事態宣言発令に伴う外出自粛要請によって、我々を取り巻く日常生活の風景も一変しました。コロナ禍による影響は、青年会議所活動とて例外ではなく、あらゆる例会・事業が中止ないし延期され、活動の根幹である諸会議も実地での開催が叶わず、オンラインで開催されることが多くなりました。オンラインでの諸会議は、時間の有効活用などの点からは有益なこともありますが、モニターを通して相手を見ているため「場の空気を読む」ことが難しく、実地開催に比して建設的な意見が出にくい傾向にあるように感じます。そのようなジレンマを抱えながらも、皆で意見を出し合いいくつかの事業を構築し、少しでも「まち」に笑顔が戻るように活動を続け、青年会議所の特徴でもある広域的(湘南地域や神奈川県など)な活動にも力を注いでいます。

その中で今感じることは、力を注ぐ優先順位を見失ってはならないということです。コロナ禍は正に「国難」ともいえる一大事です。したがって、国全体で打開策を模索していかなくてはなりません。しかし、まちづくり団体である青年会議所にあっては、まずは各LOM地域を最優先で考えるべきであると考えます。これは有事に限ったことではなく、平時であっても、最重要なのは「まちファースト」であるべきです。青年会議所の会員である以上、広域的な活動にも加わることは責務ではありますが、その中でも只管「まち」を最優先に考え最も力を注ぐ、そんな「まちづくりの原点」に立ち返りたいと考えています。我々が広域的な活動を展開できるのは、まずもって「まち」というコミュニティーがあるからであり、さらに言えば「職場」「家族」というさらに小さなコミュニティーがあるからに外なりません。したがって、力を注ぐのであれば、より小さなコミュニティーからと考えるのがごく自然ではないでしょうか。「寒川町の青年会議所なのだから、まずは寒川町のために行動する。そして、その活動を支え理解してくれる職場や家族の存在を常に意識し感謝する」―この思いを胸に一年間の事業を構築してまいります。

「まち」の青年団体が、「まち」ために力を尽くすことで「まち」が輝き、それが各地の団体に波及することで必然的に日本が輝きます。ですが、日本にはさまざまな自治体があり、それぞれが異なる歴史的背景や自然的特徴を持っているため、それを一括りに捉え施策を打ち出していくことは困難を極めるのも事実です。それぞれの地域には、そこに適した「まちづくり」があるのです。そんなときにこそ、青年会議所の存在が大きな意味を持つような気がします。その地に所縁がある青年で構成されており、地域のことを良く知っているからです。そして、当然のことながら若いので、情熱も力もあります。

前述の通り、私は寒川町で15年程度しか過ごしていません。しかし、この町にここまで育てて頂き、私にとっては「第二の故郷」だと常々感謝しています。だからこそ、「まちファースト」というところに人一倍強い思いがあり、これが私なりの「恩返し」だと考えています。

これを実現するために、以下の3項目を基本方針と致します。


《尊 重》

まずは「自己の尊重」です。

自己尊重感(=自己肯定感)は、自分を信頼し肯定すること、平たく言えば「自信をもつこと」です。まちの未来を考えていくのですから、自信がなければいけません。自信があれば、経験のないことであっても、その自信自体が根拠となり一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。

しかしながら、青年会議所活動の諸会議では、この自己尊重感が打ち砕かれることもなくはありません。もちろん、議案の作り込みに不備があることも原因のひとつであり、辛辣な意見が出ること自体は、建設的な議論を交わす上で必要不可欠なことではあります。ですが、その意見を出すときの言葉の選び方であったり、声のトーンであったり、ちょっとしたことに気を配るだけで、相手の受け取り方は随分変わります。自己尊重感は損なわれることなく、しっかり前を向けるのです。

相手の受け取り方にまで気を遣えるのは、発信側の自己尊重感が高いからだと考えています。だから、相手のことも尊重できるのです。とは言っても、自己尊重感を高めすぎれば、それは即ち「自惚れ」になってしまいます。ちょうどいいバランスを養う必要があるのではないでしょうか。

そこで、本年度の寒川青年会議所は、相手のことも尊重できる人材を育成するため、まずはメンバーそれぞれの自己尊重感を高め、諸会議・事業の在り方を模索してまいります。

「自信に裏打ちされた自分の意見をしっかり持ち」、かつ「その意見を他に示すプレゼンテーション能力があり」、同時に「他者の意見に耳を傾け積極的に取り入れる」ことができる会員の育成・資質向上に注力致します。


《探 求》

次に「真理の探究」です。

この場合の真理とは、如何なるときも変わることのない物事の正しい道筋を指し、「物事の本質」と考えます。只管に「本質」を求め続ける事業構築を目指します。

青年会議所活動の「真理=本質」とは何か。それは、やはり「まちづくり」なのだと思います。青年会議所は「修練」「奉仕」「友情」の三信条を基に活動していますが、この全てが最終的には「まちづくり」に活かされないと意味がありません。

そして、「今があるのは過去があって未来があるから」だということを見失わないことも大切です。単年度制が原則の青年会議所は、得てして「今」を考えることに集中しがちです。これは決して間違いではありませんし、無駄なことでもありません。「今」を生きる我々が、「今」を真剣に考えるのは使命です。しかし、「今」を考えるにあたっては、今日に至るまで積み上げられてきた先人たちの努力というものを大切に受け継いでいかねばなりません。その中で、時代は刻一刻と変化しているので、その時代の変化に即したある程度の「アップデート」は必要です。ただこれも闇雲にアップデートするのではなく、本質的なものを守りながらのアップデートに限られると思います。その上で、アップデートを施したものを次世代に継承していくことも、今を生きる我々の重要な責務です。これを実現するには、当然我々が過去を学んでいかなくてはなりません。過去だけが重要でもなく、未来が特別でもなく、ただ全てを連続性のあるひとつの事柄として捉えていく、こういった考えが肝要なのです。

真理・本質が守られているのであれば、それ以外の部分は大きく変わって問題ありません。つまり「不変」を護持するには、「変化」を恐れてはいけないということです。変わらないためには、変わり続けなければならない。本年度は、物事の本質を慎重に見極めつつ、勇気ある変化をもたらすことができるよう、ひとつひとつの例会・事業等に丁寧に向き合ってまいります。


《献 身》

そして、「社会への献身」です。

私は、これこそが青年会議所の至上命題ではなかろうかと思っています。青年会議所活動の三信条の一つ「奉仕」と解することもできますが、そのさらに先を目指す必要があると考えます。「奉仕」は英訳すると“service(サービス)”となりますが、これと似て非なる“hospitality(ホスピタリティー)”という言葉があります。どちらも「相手が満足することを提供する」という点では似た意味を持ちますが、両者には決定的な違いがあります。前者は「明確な主従関係」があり、対価を求めた行為であるのに対し、後者は主従関係なく個別に、しかも対価の有無にかかわらず真心で対応する行為のことを指しています。日本語では「おもてなし」と訳される行為で、相手の期待を超えるか否かという点が特に重要であると言われます。サービスは、対価を求めているため、その対価に見合った満足を提供すれば事足りますが、ホスピタリティーはそうはいきません。しかし、このホスピタリティーの部分を突き詰めてこそ、初めて誰からも認められる団体になれるのではないでしょうか。ですから、「奉仕」ではなく敢えて「献身」なのです。まちの発展に身を捧げるという、決意表明でもあります。

人間はひとりで生きているわけではありません。先祖がいて、親がいて、兄弟がいて、友がいて…血縁関係の有無にかかわらず、あらゆる方々に支えられて生きているはずです。「地域に育ててもらっている」といっても過言ではありません。「郷土愛」というのは、そういった考えから育まれるのだと信じています。そんな地域に「恩返し」の機会が頂けるのも青年会議所の大きな魅力です。

これには、やはり志を同じくする仲間が多く必要です。地域の諸団体とも今まで以上に連携を強固にしていく必要もあるでしょう。

本年度の寒川青年会議所は、より有意義な「恩返し」ができるよう、侃々諤々議論を交わし事業を構築してまいりますが、同時に会員拡大に注力し、さらに地域諸団体の交流・連携も図り、見える形で「感謝」が伝えられるよう邁進致します。大切なのは「感謝」と「恩返し」、全メンバーが肝に銘じつつ、一日一日を大事に過ごしてまいります。


《結びに》

顧みて、私が青年会議所に入会当初、まさか自分が理事長の職を預かることになるとは努々想像もつきませんでした。しかしながら、これも何かの「縁」だと感じています。

本年度、会の運営を担うにあたり、スローガンと基本方針を掲げました。この基本方針の全てをスローガンである「まちファースト」に注ぐ覚悟で一年間取り組んでまいります。

ここに改めて、当会議所の伝統をお守り頂いております先輩諸兄に衷心より御礼を申し上げますとともに、地域諸団体また町民の皆様には何卒倍旧のお力添え・ご理解を賜りますようお願い申し上げ、理事長所信と致します。

一年間どうぞ宜しくお願い申し上げます。